良いデザインとは? by ポール・ランド

“Even if it is true that the average man seems most comfortable with the commonplace and familiar, it is equally true that catering to bad taste, which we so readily attribute to the average reader, merely perpetuates that mediocrity and denies the reader one of the most easily accessible means for esthetic development and eventual enjoyment.”

-Paul Rand

平均的な人が、平凡でありふれたデザインに最も快適に感じるということが真実だとしても、容易に平均的な人の悪趣味なデザインに迎合することは、単にその平凡さを永続させるだけであり、彼らが美的感覚を養いデザインを楽しむための最も簡単な方法の一つを奪うことになるのも同様に事実です。

-ポール・ランド

デザインに関わらず新しいことに挑戦している人は、この言葉に何かを感じずにはいられないでしょう。

世の中が粗末なデザインに囲まれているのは紛れもない事実です。作る人も使う人もデザインを気にしないと言う人がいますが、デザインを気にする人は増えています。統計データで証明するまでもなく、身の回りを見渡すだけで、好みの違いはあれど、一昔前と比べてデザインの選択肢が増え、デザインの幅も広がり、デザインに力が注がれていることがあきらかでしょう。人々は考え抜かれて、きちんとデザインされたものを大切に思っているのです。デザインの楽しみを教えてくれて、未来を変えてくれるのがグッドデザイン。

The roots of good design lie in aesthetics: painting, drawing, and architecture, while those of business and market research are in demographics and statistics; aesthetics and business are traditionally incompatible disciplines.

-Paul Rand

優れたデザインのルーツは絵画、デッサン、建築などの美学にあり、ビジネスや市場調査のルーツは人口統計学にあります。美学とビジネスは伝統的に相容れない学問なのです。

-ポール・ランド

売れるデザインはあるけど、本当にそれがやりたいことでしょうか。ユーザーを騙してでもお金儲けしたいデザインの企業、デザインのことは何も考えてないデザインの企業、悪趣味なデザインに迎合せず人類を前進させるデザインの企業、デザインで企業がわかります。相反するような美学とビジネスを両立するのがグッドデザイン。

Good design adds value of some kind, gives meaning, and, not incidentally, can be sheer pleasure to behold; it respects the viewer’s sensibilities and rewards the entrepreneur.

-Paul Rand

良いデザインは、何らかの価値を付加し、意味を与え、そして、見る人の感性を尊重し、企業家に報いるものであることは言うまでもありません。

-ポール・ランド

デザインの美学について語ると一部の言葉だけ切り抜き誤解する人がいますが、(クライアントの)ユーザーとクライアントがハッピーになるデザインというのは大前提です。

ユーザーが好むデザインとクライアントが好むデザインはしばしば違います。そして、ユーザーのためになるデザインはさらに違います。みんなハッピーになるのがグッドデザイン。

この記事で引用した20世紀のロゴデザインに最も影響をもたらしたグラフィックデザイナー、ABC、IBM、NeXTのロゴデザイナー、スイススタイルの創始者のひとり、深い思想家であり、ユニークな芸術家である、ポール・ランドの言葉は、U23の探求するものと重なります。