デザイナーとノンデザイナーの見えている世界の違い

今日は、エンジニアとよく話す、U23デザイナーの見えている世界の違いのお話を紹介する。Webデザインは、誰が見ても同じ印刷物のグラフィックデザインと違い、描いたデザインをさまざまなデバイスとOSとブラウザで思い通りに表示するのがしんどい。(印刷物は別の難しさがあるのだが。)

デザインのプロトタイプをエンジニアに渡してできあがってくるWebページは、いつも依頼したものとちょっと違い修正を繰り返している。ほんの僅かに空白が狭いとかささいなことで、エンジニアにしたらどっちも牛肉で同じなのだけれど、デザイナーには神戸牛とアメリカ産ぐらい違う。

これが起こる理由の一つは、ノンデザイナーとデザイナーの見えている世界の違いにある。ノンデザイナーは、余白、空白をなにもないものと捉えるのに対し、デザイナーは、余白を「ホワイトスペース」というオブジェクトとして捉える。音楽で例えるなら、音符がないのではなく、休符(無音)という音なのだ。空気は見えないけど、空気がないと死んでしまうと言ってもいい。

余白を制するものはデザインを制する。

複雑なデザインの方が難しいと思っている人は、余白の多いシンプルなデザインをこんなの簡単だろうと馬鹿にするけど、デザインに限らず、シンプルなものこそ誤魔化しが効かずセンスが問われ難しい。

簡単に見えるかもしれないそのデザインには、ホワイトスペースというあるけど見えない取り扱い注意のオブジェクトが埋め込まれている。限りなく選択肢がある悩ましい状況の中で、何十年もかけて磨いた技術と感性と情熱を結集し、もっと美しくできずはずだと、何度も何度も変えたり戻したりを繰り返しながら、究極に洗練されたレイアウトを探す。

そうはいってもわかるとできるは別の話で、デザインが苦手な人には、見えないものは見えないかもしれない。見えない方が幸せなこともあり、ネガティブに捉えることもない。ただ、デザイン以外にも応用できることをいろいろ書いたので、覚えておくと何かの役に立つだろう。